農地は売却できる?農地転用によって売却しやすくなるケース
- explaininc
- 8月7日
- 読了時間: 6分
「農地を相続したけれど、自分では農業をする予定がない」
「農地を売却したいけれど、農家の方しか買えないと言われた」
農地を所有されている方から、このようなご相談をいただくことがあります。
今回は、実際に弊社で取り扱った三重県の物件を例に、農地を宅地へ転用して売却した事例をご紹介します。
農地の売却でお困りの方にとって、少しでも参考になればと思います。
そもそも「農地」とは?
農地とは、一般的には登記上の地目が「田」や「畑」などとなっている土地を指します。
文字通り、田んぼや畑として農業を行うための土地です。
一方、地目が「宅地」となっている土地は、建築基準法や都市計画法などの条件を満たせば、住宅などを建築することができます。
この「農地」と「宅地」では、土地の売買や利用について大きな違いがあります。
農地は農地法による規制を受けるため、農地のまま売買する場合には、農業委員会への許可申請など、一定の手続きが必要になります。
そのため、宅地のように「土地を買って家を建てたい」という一般の方が、自由に購入できるわけではありません。
簡単に言えば、農地のままでは買主が限定されるため、一般の土地に比べて売却のハードルが高いということです。
農地を「宅地」に転用した実例
先日、三重県の物件で、農地法第4条による農地転用の手続きを行い、農地から宅地へ転用したうえで売却した物件がありました。
もちろん、農地であればすべて宅地に転用できるわけではありません。
土地が所在する区域や、現在の利用状況、周辺環境、農地の区分など、さまざまな条件を確認する必要があります。
今回の物件では、特に大きかったポイントが2つありました。
① 非線引き区域だったこと
一つ目は、今回の土地が非線引き区域にあったことです。
都市部では、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けているケースが多くあります。
簡単なイメージで言えば、
市街化区域=これから市街化を進めていく地域
市街化調整区域=無秩序な市街化を抑える地域
という違いがあります。
市街化調整区域は、住宅や店舗などが無秩序に建築されることを抑えるための地域です。
そのため、市街化調整区域内にある農地を宅地へ転用する場合には、さまざまな制限があり、簡単には進まないケースがあります。
都市部では、人口が集中し、住宅や店舗などが無秩序に増えてしまうことを防ぐため、行政があらかじめ土地利用のルールを決めています。
一方、非線引き区域は、市街化区域と市街化調整区域のような区域区分がされていない地域です。
地方都市などでは、駅の近くであっても市街化調整区域が存在するなど、「なぜここが市街化調整区域なの?」と思うような地域もあります。
土地の価値や利用可能性を判断する際には、単純に「駅から近い」「田舎だから」というだけではなく、その土地が都市計画上どの区域にあるのかを確認することが非常に重要です。
なお、非線引き区域だからといって、必ず農地転用ができるというわけではありません。
農地法や都市計画法、各自治体の基準などを確認したうえで、転用が可能かどうかを判断する必要があります。
② 農地の中に「住宅」が建っていたこと
二つ目のポイントは、農地の中に建物が建っていたことです。
ただし、ここでいう建物は農業用の倉庫などではありません。
もともと農業を営んでいた所有者の方が、田んぼや畑を管理するための自宅として実際に使用していた住宅です。
このように、農地であっても、
・住宅などの建物が建っている・現在どのように土地が利用されているか・過去にどのように利用されていたか・どの区域に所在しているか
などによって、農地転用の可能性を検討できる場合があります。
今回の物件についても、ほかに農地転用につながった要素はありますが、大きなポイントとしては、
「非線引き区域であったこと」
「農地の中に住宅が建っていたこと」
この2つが大きかったと考えています。
農地転用ができれば、買主の幅が広がる
市街化調整区域ではない農地で、なおかつ住宅などの建物が建っている場合には、農地転用の可能性について一度調べてみる価値があります。
もちろん、転用できることを保証するものではありません。
しかし、農地から宅地などへの転用が可能になれば、農業従事者に限らず、一般の会社員の方などにも売却できる可能性が出てきます。
実際、弊社でも農地を農地のまま売却しているケースがあります。
ただ、農地のまま売却する場合、問い合わせをいただく方の多くは一般の会社員の方です。
「この土地を購入して家を建てたい」
「土地が安いので購入を検討したい」
という方からお問い合わせをいただくのですが、農地のままでは農地法上の手続きや買主側の要件などがあるため、「手続きなしで普通の土地として購入できる」と思ってお問い合わせいただいたものの、購入を断念されるケースも少なくありません。
そのため、農地の売却を考える場合には、
「農地のまま売るのか」
それとも
「農地転用をしてから売るのか」
を検討することが重要になります。
農地転用には時間も費用もかかります。
しかし、転用が可能な土地であれば、時間をかけてでも宅地などに転用することで、買主の選択肢が広がり、結果として売却しやすくなる可能性があります。
「ほったらかし」になっている農地はありませんか?
今回の物件は、農地転用から売却まで、かなりの時間が必要となった物件でした。
決して簡単な取引ではありませんでしたが、所有者様から、
「ほったらかし状態になっていた不動産だったので、何とか子どもや孫に迷惑をかけずに済んで良かった」
とお話しいただきました。
この言葉を聞いたときに、時間はかかりましたが、この物件に取り組んで良かったと思いました。
不動産は、所有しているだけで管理や固定資産税などの負担が発生します。
特に農地の場合、長期間そのままにしていると、管理の問題だけでなく、将来相続する子どもや孫に負担を残してしまうこともあります。
「農地だから売れない」
「農家にしか売れないと言われた」
と最初から諦めてしまうのではなく、その土地が農地転用できる可能性があるのかを調べてみることも、一つの方法です。
農地のまま売却する方法だけでなく、
「農地転用ができるのか」
「宅地として売却できる可能性があるのか」
「転用する場合、どのくらいの時間や費用がかかるのか」
などを確認したうえで、所有者様にとって一番良い売却方法を考えることが大切だと思います。
農地の売却や相続した農地の処分などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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