住宅ローン金利が1か月で約0.4%上昇。これから金利はどこまで上がるのか?
前回のコラムでも住宅ローン金利について書かせていただきました。
しかし、今回あらためて住宅ローン金利を確認してみると、驚くような変化がありました。
フラット35の21年~35年の借入期間では、金利が3.83%となりました。

9月に前回のコラムを掲載した時点と比較すると、わずか1か月で約0.4%の金利上昇です。
正直なところ、ここまで短期間で住宅ローン金利が上昇するとは、私自身も想像していませんでした。
住宅ローンは20年、30年、35年と長期間にわたって返済するものです。
これから住宅を購入される方にとっては、「今の金利が何%なのか」だけではなく、金利がさらに上昇した場合に住宅ローンを返済していけるのかという視点が、これまで以上に重要になってくると思います。
変動金利も2022年頃とは大きく変わった
固定金利だけではありません。
変動金利についても、実際に住宅ローンを借りる際の**適用金利(優遇後の金利)**が上昇しています。
2026年10月現在、大手都市銀行では住宅ローンの基準金利が概ね**3.375%**となっています。
そこから、お客様の勤務先、年収、取引状況、借入条件などによって金利優遇が適用されます。
例えば、
基準金利 3.375%金利優遇 -2.0%適用金利 1.375%
という計算になります。
もちろん、実際の金利優遇幅は金融機関やお客様の条件によって異なります。
現在は、このように「基準金利」と「実際に借りる金利」に大きな差があることが住宅ローンの特徴です。
2022年頃は適用金利0.5%前後という時代だった
これが2022年頃になると、住宅ローンの基準金利は現在よりかなり低い水準でした。
例えば基準金利が、
2.575%~2.875%
だったとします。
そこから2%の金利優遇があれば、
2.575%-2.0%=0.575%
2.875%-2.0%=0.875%
となります。
つまり、当時は条件によっては0.5%台~0.8%台程度の適用金利で住宅ローンを借りることができました。
現在では1%台の適用金利も見られるようになり、わずか数年で住宅ローンを取り巻く環境が大きく変わったことが分かります。
「基準金利」と「適用金利」は分けて考える必要がある
住宅ローンの話をすると、
「変動金利が1.5%になった」
「基準金利が3.375%になった」
など、いろいろな数字が出てきます。
しかし、ここで注意したいのが、
基準金利=実際に支払う金利ではない
ということです。
金融機関には基準となる金利があり、そこから各お客様に対して金利優遇が行われ、最終的な適用金利が決まります。
現在のように、
基準金利3.375%→ 2%優遇→ 適用金利1.375%
という仕組みです。
そのため、住宅ローンを比較するときには、単純に「基準金利が何%」だけを見るのではなく、
「自分の場合、実際には何%で借りられるのか」
を見ることが大切です。
では、バブル期の住宅ローンはどうだったのか?
ここで、少し昔の住宅ローンを振り返ってみたいと思います。
バブル期には、銀行の住宅ローンの基準金利が8%台になる時代もありました。
現在の住宅ローンから考えると、8%という金利は驚くほど高い数字です。
ただし、現在と大きく違うのが、
当時は現在のような大幅な金利優遇制度が一般的ではなかった
ということです。
現在は、
基準金利3.375%-金利優遇2%=適用金利1.375%
という考え方ですが、当時は基本的に基準となる金利で住宅ローンを借りるという時代でした。
そのため、現在の金利優遇制度を単純に当時へ当てはめて考えれば、
基準金利8%- 金利優遇2%= 適用金利6%
ということになります。
もちろん、これは現在の金利優遇制度を過去に当てはめた単純な計算です。
実際には当時の住宅ローン制度と現在の制度は違います。
ただ、ここから分かるのは、
「基準金利が8%になったら、現在の住宅ローンもそのまま8%になる」という単純な話ではない
ということです。
私が就職した平成10年頃の住宅ローン
私が就職したのは平成10年頃です。
当時の住宅ローンは、現在とはかなり仕組みが違っていました。
銀行の住宅ローンの基準金利は2.375%程度という水準でした。
そして、当時は住宅を購入する際に、
住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)
を利用する方も多く、住宅金融公庫で8割程度を借り、残りの2割程度を銀行から借りる、という住宅ローンの組み方がありました。
イメージとしては、
住宅金融公庫:約80%銀行:約20%
という組み合わせです。
現在のように、最初から銀行の変動金利を大幅な優遇を受けて借りるという住宅ローンとは、かなり違った時代でした。
平成15年頃から「金利優遇」が大きくなっていった
その後、平成15年頃から銀行の住宅ローンで「金利優遇」が徐々に出てくるようになりました。
最初の頃は、
-0.3%
など、それほど大きな優遇ではありませんでした。
ところが、金融機関同士の競争などもあり、徐々に優遇幅が大きくなっていきます。
-0.3% → -0.5% → -1.0% → -1.5% → -2.0%前後
というように、住宅ローンの金利優遇は大きくなっていきました。
現在では、条件によっては2%程度、あるいはそれを超える金利引下げが設定される住宅ローンもあります。
つまり、現在の住宅ローンを考える場合、
「基準金利が何%なのか」
だけではなく、
「そこから何%優遇されて、最終的に何%になるのか」
を見る必要があります。
もう一つ重要なのが「審査金利」です
ここからは、住宅ローンを利用する方にはあまり知られていない話です。
住宅ローンには、実際にお客様が支払う「適用金利」とは別に、金融機関が住宅ローンの審査をするときに使用する**「審査金利」**があります。
私ども不動産会社が住宅ローンの借入可能額を考えるときにも、この審査金利は重要になります。
金融機関は、お客様の年収に対して、
「この人なら、いくらまで住宅ローンを返済できるのか」
という計算をします。
その際、実際に適用される1%台などの低い金利ではなく、4%程度の審査金利を使って計算する金融機関があります。
つまり、
実際の住宅ローン金利=1%台
であっても、
住宅ローンの審査=4%程度の金利で計算
するということです。
なぜ4%で審査するのか?
なぜ実際の金利より高い4%程度の金利で審査するのでしょうか。
理由の一つは、
将来的に金利が上昇しても返済できるかを確認するため
です。
例えば、現在1.375%で住宅ローンを借りられたとしても、35年間ずっと1.375%のままとは限りません。
将来的に金利が上昇する可能性があります。
そこで、金融機関が一定の高い金利を想定して、
「この金利まで上昇しても、この年収なら返済できるだろう」
という基準を設けて審査します。
そして、ここは私自身が住宅ローンを考えるうえで興味深いところです。
もともと金融機関も、住宅ローンの審査をする段階で「金利が4%程度まで上昇する可能性」をある程度見据えているのではないでしょうか。
もちろん、これは「将来必ず4%まで上昇する」という意味ではありません。
また、すべての金融機関が4%という同じ審査金利を使用しているわけでもありません。
ただ、実際の適用金利が1%台である一方で、審査では4%程度の金利を想定して借入可能額を計算している金融機関があるということは、住宅ローンを考えるうえで一つの参考になると思います。
現在の低い適用金利だけを見て住宅購入を考えるのではなく、
「もし金利が上昇したらどうなるのか」
というところまで金融機関側も考えて審査している、と考えることができます。
もし変動金利が6%になったら?
ここは少し極端な話になります。
現在、仮に金利優遇が2%あるとします。
もし基準金利が、
6%
まで上昇したとすると、
6%-2%=4%
となります。
つまり、単純化して考えれば、適用金利も4%になります。
現在、多くの住宅ローン審査で4%程度の審査金利を使用しているケースがあることを考えると、
「実際の適用金利が4%になる」という状況は、現在の住宅ローン利用者にとってかなり大きな負担になる
と考えられます。
さらに、金利優遇幅は住宅ローン契約の内容によって異なるため、すべての人が同じように2%優遇されるわけではありません。
したがって、
「基準金利が6%になったら、誰でも4%になる」
という意味ではありません。
あくまで、現在の2%優遇を前提にした単純なシミュレーションです。
住宅ローンは「年収」だけでは判断できない
ここで、私が不動産の仕事をしていて感じることがあります。
住宅ローンの返済額については、
同じ年収の人でも、感じ方が全く違います。
例えば、同じ年収の方でも、
「毎月5万円の住宅ローンでも負担が大きい」
という方もいれば、
「毎月10万円くらいなら問題ない」
という方もいます。
これは、その人の生活スタイルや家族構成、車、教育費、趣味、貯蓄、将来の予定などによって違うからです。
つまり、
「年収○万円なら住宅ローン○万円まで大丈夫」
と一律に決めることはできません。
金融機関の審査は、一定の基準に基づいて「貸せる金額」を判断します。
しかし、
「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」は違います。
ここは住宅を購入する際に、ぜひ覚えておいていただきたいところです。
4%の審査金利は「一定の基準」
4%程度の審査金利は、将来的な金利上昇に対して一定の余裕を持たせるための一つの基準とも考えられます。
ただし、審査金利4%をクリアしたからといって、
「将来も絶対に安心」
というわけではありません。
住宅ローンは35年間という非常に長い期間の借入になることがあります。
その間には、
・金利上昇・収入の変化・転職・退職・子どもの教育費・車の買い替え・住宅の修繕費・固定資産税・家族構成の変化
など、さまざまなことが起こります。
だからこそ、住宅購入の予算を決めるときには、
「銀行がいくら貸してくれるか」
ではなく、
「自分たちはいくらなら無理なく返済できるのか」
を考えることが大切だと思います。
これから住宅ローン金利はどうなるのか?
これは正直なところ、誰にも正確には分かりません。
過去40年を振り返っても、
バブル期の高金利
↓
バブル崩壊
↓
低金利時代
↓
ゼロ金利
↓
マイナス金
↓
そして現在の金利上昇
と、大きく変化してきました。
そして現在は、フラット35の長期固定金利も上昇し、変動金利についても基準金利・適用金利ともに上昇する局面に入っています。
前回9月にコラムを書いた時点では想像していなかったほど、わずか1か月で固定金利が上昇しました。
このことからも、
「今までずっと低金利だったから、これからも低金利だろう」
と考えるのは少し危険なのかもしれません。
住宅ローンは「今の金利」ではなく「上がったとき」も考える
住宅ローンを組む際には、
「現在の適用金利が何%なのか」
だけではなく、
「もし金利が2%になったら?」
「もし3%になったら?」
「もし4%になったら?」
と考えてみることをおすすめします。
もちろん、将来必ずそこまで金利が上昇するという意味ではありません。
しかし、住宅ローンは長期間の借入です。
「そんなことは起こらないだろう」と考えるより、
「もし起こったとしても返済できる住宅購入予算にしておく」
ことの方が重要ではないでしょうか。
まとめ
住宅ローンの金利を見るときには、
① 基準金利
② 金利優遇幅
③ 実際の適用金利
④ 金融機関が審査に使用する審査金利
この4つを分けて考えることが大切です。
現在は基準金利から大きな金利優遇があるため、昔の金利と現在の金利を単純に比較することはできません。
バブル期には銀行の基準金利が8%台になることもありましたが、当時は現在のような大幅な金利優遇制度が一般的ではありませんでした。
一方、現在は基準金利が上昇しているものの、大きな金利優遇によって実際の適用金利は基準金利より低くなっています。
ただし、金利上昇が続けば、当然ながら適用金利も上昇する可能性があります。
住宅購入を検討されている方は、
「いくら借りられるか」ではなく、「いくらなら将来も無理なく返せるか」
という視点を持つことが大切です。
私ども株式会社エクスプレインでも、不動産の価格だけではなく、住宅ローン、毎月の返済額、将来的な金利上昇なども含めて、お客様それぞれのライフプランに合わせた住宅購入を一緒に考えています。
これから住宅購入を検討される方は、ぜひ「今の金利」だけではなく、金利が上昇した場合の住宅ローン返済まで考えて、購入予算を決めていただければと思います。


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