借地権付き建物の買取査定|査定価格だけで判断してはいけない理由
不動産会社をしていると、他の不動産会社から「この物件を買い取ってもらえませんか?」と、買取査定のご相談をいただくことが多数あります。
今回は、その中でも借地権付き建物の買取査定について、実際にあった相談をもとにお話しします。
借地権は、一般的な所有権の不動産と比べて確認する事項が多く、担当者の経験によって査定金額や販売方法に差が出やすい不動産の一つです。
謄本や地図だけでは買取価格を判断できない
今回、他社の不動産会社から借地権付き建物の買取査定について相談をいただきました。
物件資料として、
登記簿謄本
公図・地図
建物に関する資料
などをいただきました。
しかし、買取価格を判断するうえで重要な情報が分かっていませんでした。
例えば、
新しい借地料はいくらになるのか。
名義変更料はいくらになるのか。
という点です。
さらに、地主様によっては、
預り金
名義変更に関する費用
譲渡承諾に関する条件
建物をリフォームする場合の承諾料
建替えをする場合の承諾料
などが発生する場合があります。
こうした条件が分からないままでは、購入後にどれだけ費用がかかるのか判断できません。
そのため、現時点で正確な買取金額を出すことは難しいというのが正直なところです。
もちろん、地主様に対して「この条件で借地権を譲渡したい」という打診を行い、条件を確認することはできます。
しかし、それはあくまで地主様との確認・交渉が必要な段階です。
借地権は「土地と建物」だけを見ればいいわけではない
借地権付き建物の場合、所有権の戸建てなどと違い、土地と建物の価格だけを見て判断することはできません。
例えば、
建物の価値
に加えて、
借地条件
地代
譲渡条件
名義変更料
預り金
リフォーム・増改築の承諾条件
地主様との契約関係
などを確認する必要があります。
同じような建物であっても、借地条件が違えば不動産としての価値は変わります。
だからこそ、借地権付き建物の査定では、資料を集めるだけではなく、契約内容や地主様との関係まで確認することが重要です。
今回、最終的に言われたこと
今回の相談では、最終的に、
「借地権はややこしいので、直接お客様をご紹介させていただきます。うまく御社で買取できたら、その際は仲介に入らせてください」
という話になりました。
私はこれまで借地権や底地の売買を扱ってきたため、個人的には借地権について「ややこしいからやりたくない」と思ったことはありません。
もちろん、一般的な所有権物件より確認事項は多くなります。
しかし、必要な資料を確認し、地主様との条件を整理し、購入後の販売方法まで考えれば、判断できることはたくさんあります。
なぜ借地権を扱いたがらない担当者もいるのか
これはあくまで私自身が感じていることですが、借地権は一般的な所有権物件よりも、
物件価格が低くなりやすい↓仲介手数料も低くなりやすい↓確認・交渉する事項は多い↓手間がかかる
というケースがあります。
そのため、担当者によっては、同じ時間をかけるのであれば、一般的な所有権物件を優先したいと考えることもあると思います。
もちろん、不動産会社や担当者によって得意分野は違います。
借地権を多く扱う会社もあれば、マンションや新築戸建てを得意とする会社もあります。
大切なのは、その物件に適した経験や知識を持った担当者に相談することだと思います。
私が今回気になったのは「査定金額」です
今回、私が特に気になったのは、借地権が「ややこしい」ということではありません。
それよりも気になったのが、売主様に提示されていた査定金額です。
かなり高い金額が提示されていました。
もちろん、不動産の査定価格は会社によって違います。
また、一般仲介であれば、高めの価格から販売をスタートして、市場の反応を見ながら価格を調整するという方法もあります。
しかし、買取査定の場合は事情が違います。
一般仲介と「買取査定」では意味が違う
例えば、一般仲介で、
「この物件なら3,000万円くらいで販売してみましょう」
という査定をしたとします。
実際に販売して反響がなければ、
「少し価格を下げてみましょう」
という対応ができます。
しかし、買取の場合、
「3,000万円で買い取ってもらえると思っていた」
という売主様に対して、実際の買取価格が2,300万円だった場合、700万円もの差が生じます。
売主様からすれば、
「最初に聞いていた金額と全然違う」
ということになってしまいます。
もちろん、弊社の買取価格が売主様の希望に届かない可能性もあります。
弊社としても、無理をして高い金額を提示してまで購入することはできません。
だからこそ、最初の査定段階で、どのような根拠でその金額を出しているのかが非常に重要だと思います。
高い査定金額=良い査定とは限らない
不動産の査定では、
「一番高い金額を出してくれた会社に依頼する」
という考え方になりがちです。
しかし、私は査定金額だけで判断することはおすすめしません。
重要なのは、
「なぜ、その金額になるのか」
ということです。
特に借地権の場合は、
現在の地代
新しい地代
名義変更料
譲渡承諾の条件
預り金
更新条件
建替え・増改築の条件
リフォーム時の承諾料
建物の状態
購入後に必要な費用
再販売価格
販売期間
などを考える必要があります。
これらが分からない状態で、非常に高い査定価格だけが提示されているのであれば、その金額がどのように算出されたのか確認することが大切です。
「その金額で、実際にどう売るのか」まで確認する
借地権を買い取る場合、購入した後にどうするのかも重要です。
例えば、
「購入した後、どのような買主を想定しているのか」
「いくらで再販売するのか」
「どのくらいの期間で売却する想定なのか」
「借地権でも住宅ローンを利用できる買主を想定しているのか」
など、出口まで考える必要があります。
入口の買取価格だけではなく、出口の販売方法まで考えて初めて買取価格が決まると私は考えています。
借地権だけではありません
こうした話は借地権だけに限りません。
例えば、
借地権売買
底地売買
権利売買
農地売買
任意売却
再建築不可物件
共有不動産
相続不動産
なども、一般的な所有権物件とは異なる知識や経験が必要になることがあります。
特にこうした物件では、契約内容や権利関係を十分に確認せずに取引を進めると、後から大きな問題になる可能性があります。
場合によっては、売主様・買主様双方に大きな損害が発生することも考えられます。
査定金額だけではなく「根拠」を確認してください
不動産を売却するとき、複数の会社から査定を取ることは大切です。
ただ、ぜひ確認していただきたいのが、
「なぜ、この査定金額なのですか?」
ということです。
さらに、
「実際にこの金額で買い取ることができるのですか?」
「購入後はどのように販売する予定ですか?」
「同じような物件を過去に扱ったことがありますか?」
と聞いてみることをおすすめします。
特に借地権や底地など、権利関係が複雑な不動産については、査定価格だけでなく、査定の根拠・取引経験・販売方法まで確認したうえで依頼することが大切です。
まとめ
今回の件を通して、改めて感じたことがあります。
それは、
不動産査定は「金額を出すこと」だけが仕事ではない
ということです。
借地権付き建物であれば、
「いくらなのか」
だけではなく、
「借地条件はどうなっているのか」
「地主様との間にどのような条件があるのか」
「購入後にどのような費用が発生するのか」
「どのように販売するのか」
まで考える必要があります。
査定金額が高ければ、売主様としては期待すると思います。
しかし、その金額で実際に売却できなければ、結果として売主様が次にどうすればよいのか分からなくなってしまうこともあります。
不動産会社を選ぶ際には、査定金額だけではなく、その金額の根拠や販売方法、担当者の経験まで確認してから依頼することを強くおすすめします。
弊社では、一般的な土地・戸建て・マンションだけでなく、借地権・底地・権利売買・農地・任意売却・再建築不可物件など、一般的な不動産取引とは異なる物件についてもご相談をお受けしています。
「他社で査定してもらったけれど、この金額は本当に妥当なのか?」
「借地権なので、どのように売却すればいいのか分からない」
「地主様との交渉が必要になりそう」
といった場合も、お気軽にご相談ください。


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